事業や投資でリターンを得るためには、リスクはつきものです。リスクを冒さずにリターンを得ることはありませんが、重要なのは、リスクとリターンが見合っているか、またほかの手法と比較し成功時・失敗時の影響がどれくらい違うかを見極めることです。

 

2018年のワールドカップでは、日本代表が戦いぶりについて瞬時にリスクとリターンを見極め、結果を出したので、これをもとにして説明したいと思います。

 

 


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日本代表が取ったリスクとリターン

2018年6月29日、サッカー日本代表は2大会ぶりの決勝トーナメント進出を決めましたが、3戦目、ポーランド戦の戦い方は以下のようなものでした。

 

 

0-1でリードされている場面で、残り時間10分でパス回しを繰り返し、点差をキープし続ける

 

 

勝っている場面なら、もしくは同点の場面でも、点差を守るこのような戦い方は十分考えられますが、負けている場面では類を見ません。なぜなら、自力で決勝トーナメントに進出するなら、引き分け以上に持ち込むしかないからです。

 

ただし、同時に行われていたコロンビア対セネガル、コロンビアが1-0でリードしていたため、日本はこれ以上点を取られなければ、「フェアプレーポイント」の差で決勝トーナメント進出を決めることができます。

しかしこれはセネガルが追い付いてしまうと日本の敗退が決定してしまう、コロンビアの逃げ切りに期待する他力本願の戦いだと言われています。

 

 

ですが、僕は「運で決勝トーナメントに行けた」とは思いません。どのように戦うのが最善なのかを瞬時に見極めて実行した、西野監督の手腕だと思います。
※以下、この記事では「日本にとっての勝つ=決勝トーナメントに進出する」と定義しています。ポーランド戦の勝敗は関係ありません。

 

ラスト10分の状況と、選択可能な戦略

日本対ポーランドが0-1、コロンビア対セネガルが1-0になった瞬間、各国は以下のような状況に置かれました。

日本 セネガル コロンビア ポーランド
・1位通過はほぼなくなった
・ポーランドに追い付いて引き分ければ、決勝トーナメントに行ける
・2試合の点差が維持されれば、決勝トーナメントに行ける
・決勝トーナメントに行くには、コロンビアに追い付くしかない ・このまま逃げ切れば決勝トーナメントに行ける
・セネガルに追い付かれると、2位通過になってしまう
・敗退は確定しているが、せめて1試合は勝ちたい

 

この状況により、残りの10分、4国は以下のような戦いが求められることになりました。

日本 セネガル コロンビア ポーランド
攻めるor守る 全ツ(攻めオンリー) 守る 守る(場合によっては攻める)

 

セネガルは攻めて引き分けに持ち込むしかありません。

コロンビアは逃げ切りたいので、攻めるしかないセネガルの攻撃に耐えなければいけません。そのため守備を固めます。

ポーランドも逃げ切りたいので、守備を固めます。しかし機会があればもっと点を取りに行くかもしれません。

 

 

ポーランドから点を取るより、コロンビアが逃げ切る可能性が圧倒的に高い

この状況により、日本が攻めた場合、守った場合はこうなります。

戦い方 メリット デメリット
攻める 得点できれば自力で決勝T進出 カウンターされ失点すると、決勝T進出は絶望的
守る 0-1という点差は維持されるので、セネガル-コロンビアに動きがなければ決勝T進出 セネガルに得点されると決勝T進出は絶望的

 

つまり、「ポーランドから得点できるか※」と「コロンビアが逃げ切るか」の2つを天秤にかけることになります。西野監督は後者を選択しましたが、僕もそれでよかったと思います。
※「引き分け」ではなく、得点さえできればいい状況でした。仮にポーランドに勝ち越しを許しても、その場合は1-2なので、総得点差で進出です。

 

点を取ろうとして攻撃すると、守備がおろそかになります。攻撃に失敗してカウンターを食らってしまうと、その瞬間決勝T進出は消えます。なぜならコロンビアとセネガルが、日本が行ったようにともに守備固めをして、日本は得失点差で敗れたからです。

 

ましてや、ポーランドもできれば逃げ切りたく守備寄りになっていたので、得点するのも難しくなります。

 

一方、コロンビアは絶対に勝ちたい状態でした。1位通過のほうが、決勝トーナメントが有利なブロックだったからです。そのため残り10分は守備を固めます。一旦守備を固めたら、得点するのは容易ではありません。

 

 

戦い方を選ぶことができた日本は、コロンビアが逃げ切ると踏み、ポーランドから得点することは選択せず、点差を維持することとしました。

勝とうとするなら(引き分けにしようとするなら)、ポーランドは敵ですが、このまま負けようとするなら、ポーランドは「味方」です。なぜならポーランドは勝てばなんでもいいからです。

 

利害が一致したならば、点差を維持することは簡単です。実際に日本は何にも労せずに0-1を維持したまま試合を終えました。そして日本の思惑通り、コロンビアも逃げ切りました。他力本願だとは言われますが、コロンビアは逃げ切ろうと守備寄りにしようとしていたところです。逃げ切る可能性は十分ありました。日本が攻めつつ失点しない可能性より高かったハズです。

 

この戦略は運でも他力本願でもない 「勝つ」ための最も可能性が高い戦略

できれば日本も、1位通過したかったところではありますが、このような点差になった瞬間、1位通過は絶望的になりました。それなら2位狙いとなりますが、可能性と確率を瞬時に見極めて実行した西野監督の手腕であり、決して「コロンビア任せ」や「運」ではないと思っています。

 

 

コロンビアが逃げ切る可能性が「非常に高い」と考えていたならば、それは他力本願ではありません。十分計算できる事象を利用した、「戦略」です。

 

 

最後に、この戦いは会場で大ブーイングが起きましたが、僕はこれでいいと思っています。

プロスポーツに限らず、社会人の仕事は結果がすべてです。「勝つことが目的」です。

目的のためなら、ルールに違反しない限りは可能性のあるすべての手の中から最善手を尽くすだけです。

 

僕が日本代表に手の平返しした記事は以下をご覧ください。



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